知的障害のある方の個別学習で使用する自作、市販の教材をご紹介します。
何をするのかが分かりやすく、注目しやすい工夫をされた教材は、指導者との基本的なやりとりやコミュニケーションの形を学習する上でも有効です。
また、認知レベルに応じた教材で課題を遂行することで、周囲の状況を理解しやすくしたり、生活スキルを上げたりすることができます。
なにより、「わかった」「おもしろい」「できた」という達成感を味わい、まなぶことの喜びを感じる体験ができます。

ここでご紹介する教材は、どれも基本的なものです。それぞれの教材について、目的や指導方法、大きさなどについて示しています。指導する場合は、単に作業的に進めるのではなく、認知レベルに応じたことばを添えることが大切です。

知的障害のある方を支援されている方で、ご希望があれば、実物をご覧いただき、ご相談も承ります。

マッチング

同じものどうし、または何かと何かを合わせて一つのものにする課題です。全く同じ二つの実物の理解や一箇所に一つずつ入れることの理解は、さまざまな課題の基本になります。同じものを線で結ぶといったプリント教材の前に、手と目を使う、このような課題に十分取り組みたいものです。

弁別・分類

見分ける、区別する、同類のものをまとめるといった課題です。「同じ」「違う」「〇〇の仲間」など、ことばでの理解は難しい段階でも、体験的に取り組むことができます。興味をひきやすいきれいな色や身近なものを教材を使い、手を使った活動(入れる、刺す)で自然に達成できる活動がよいです。

ことば

ことばには、表出(外に表す)と理解(心の内面で、わかる)の二つの働きがあります。表出には話しことばの他に、体の一部を動かすサイン、写真やシンボル、機器を使う方法もあります。ひらがな文字をなぞるといったプリント教材の前に、手と耳と目を使った体験的な課題に十分取り組みたいものです。

数量

数量の概念の理解の基本は「一対一対応」ができることです。それには、手と目を使った体験的な活動が不可欠です。手を一回動かすことは「いち」という数概念を体験することになるからです。プリント教材でものの数を数字で書く課題を進める前に、教材を使った数量の体験活動をすることが必要です。

手と目

入れる、出す、刺すといった必然性のある分かりやすい教材で、手と目を十分に使う課題です。認知レベルが幼い段階から取り組め、学習の導入課題としても適しています。課題ができたことが分かりやすく、繰り返しやすいので、指導者との信頼関係やコミュニケーションをきづくこともねらいます。

アプリ

iPadで使用しているアプリです。直接画面をさわって操作することは、自分で決めたり、自分で表現したりする体験でもあります。また、瞬時に反応し、自分のしたことの結果がすぐにわかるという利点があります。ここでは、音楽、コミュニケーション、数量、ことば、手と目の操作に関するものを紹介します。

シンボル付き歌詞

ひらがなの歌詞にシンボルやイラストを付けることで、歌詞をイメージしたり記憶したりすることを助けます。シンボルやイラストに合わせて、手話などの身体サインをすることで、より声が出るようになった例がたくさんあります。PDFファイルを印刷して使用できます。